「地震のあと、マンションの大きな窓が気になるようになった」「割れたときの破片が心配だから飛散防止フィルムを貼りたい。でも、勝手に貼っていいのだろうか」。分譲マンションにお住まいの方から、こうした疑問をいただくことがあります。戸建て住宅と違い、マンションの窓には管理規約というルールが関わるため、施工そのものより先に、確認すべき手順があります。
令和8年7月28日に発生した熊本地方を震源とする地震では、大分県災害対策連絡室の発表(第2報・7月29日8時現在)によると、県内でも大分市をはじめ複数の市町村で震度4が観測されたと報告されています。大きな揺れを体感したことをきっかけに、住まいの窓まわりを見直した方もいらっしゃるかと思います。
この記事では、大分県速見郡日出町を拠点に窓ガラスフィルム施工を行うHARU工房いちまるが、分譲マンションの窓ガラスがどう扱われているのか、管理規約で何を確認すればよいのか、そしてフィルムでできること・できないことを整理します。写真を送っていただければ、分かる範囲での事前確認もできます。
この記事でわかること
- マンションの窓ガラスが「共用部分」として扱われる理由
- 管理規約・使用細則のどこを確認すればよいか
- 管理組合や管理会社へ相談するときに伝えると話が進みやすい内容
- 窓ガラスフィルム、内窓の増設、ガラス交換の目的と手続きの違い
- マンションならではの施工前確認(ガラスの種類・熱割れ・設置環境)
結論
国土交通省が公表しているマンション標準管理規約では、窓枠と窓ガラスは専有部分に含まれないものとされています。つまり、自分の住戸の窓であっても、専有部分の内装のように自由に変更できる前提にはなっていません。ただし、各マンションの管理規約や使用細則の内容はそれぞれ異なります。フィルム施工を検討する場合は、まずお住まいのマンションの規約と細則を確認し、必要に応じて管理組合や管理会社へ相談することが出発点になります。フィルム自体は、ガラスが割れた際の破片飛散を抑える目的の対策であり、ガラスが割れなくなるものではありません。

地震をきっかけに、マンションの窓が気になる方へ
揺れの大きさにかかわらず、地震のあとに室内を見渡すと、普段は意識していなかった場所が気になることがあります。その代表が、リビングの大きな掃き出し窓や、寝室の窓です。
マンションの場合、戸建て住宅とは条件が異なります。上層階では家具の転倒リスクが変わりますし、バルコニー側の窓は面積が大きいことも多く、割れた場合に床へ広がる破片の量も増えます。避難時に廊下や玄関まで移動する経路に窓がある場合、足元の安全も考えておきたいところです。
一方で、窓まわりに手を加えようとした途端、「ここは自分の所有なのか」という疑問にぶつかります。ここが、マンションと戸建ての一番大きな違いです。
マンションの窓ガラスは「共用部分」とされているのが基本です

結論から言うと、国が示しているモデルルールでは、窓枠と窓ガラスは専有部分に含まれないものとして扱われています。
国土交通省が公表しているマンション標準管理規約(単棟型)の第7条では、専有部分の範囲について「窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする」と定められています。天井・床・壁は躯体部分を除く部分が専有部分とされ、玄関扉は錠と内部塗装部分のみが専有部分とされているのに対し、窓は扱いが異なるわけです。
専用使用権があっても、自由に変更できる前提ではありません
同じ標準管理規約の第14条では、バルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラスなどについて、区分所有者が専用使用権を有することが定められています。「自分の住戸に付属していて、自分だけが使える」という権利です。
ただし、専用使用権は所有権とは違います。対象が共用部分の一部であることから、通常の用法に従って使用することや、外観を変更する行為については使用細則で定めるという考え方が示されています。使えることと、形や見た目を変えてよいことは別、と整理すると分かりやすいかもしれません。
そのうえで、標準管理規約の第22条には「窓ガラス等の改良」という条文があります。窓枠・窓ガラス・玄関扉などの開口部に係る改良工事で、防犯、防音、断熱といった住宅の性能向上に資するものは、管理組合が責任と負担で計画修繕として実施するものとし、管理組合が速やかに実施できない場合には、各区分所有者の責任と負担で実施することについて細則を定めるものとする、という内容です。
注意したいポイント
ここで紹介しているのは、あくまで国が示す標準管理規約の内容です。実際の管理規約や使用細則は、マンションごとに内容が異なります。窓ガラスフィルムの施工が、お住まいのマンションでどのように扱われるか、またどの手続きが必要かは、管理規約・使用細則の確認と、管理組合や管理会社への確認が必要です。当店は法律の専門家ではないため、規約の解釈そのものについてはお答えできません。
管理規約で確認しておきたい3つのこと

相談の前に、手元の書類で確認できることがあります。入居時に受け取った管理規約と使用細則、それから総会の議事録が手がかりになります。
- 専有部分と共用部分の範囲…窓枠・窓ガラスがどう書かれているかを確認します。標準管理規約と同じ書き方になっているマンションが多い一方、独自の規定がある場合もあります。
- 開口部の改良に関する細則の有無…第22条に相当する条文があるか、それに基づく細則が定められているかを確認します。細則があれば、どの範囲の工事なら個人の負担で実施できるかが書かれていることがあります。
- 申請と承認の手続き…工事を行う際に、理事長への申請書提出や書面による承認が必要とされているかを確認します。標準管理規約では、専有部分の修繕等についても、共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれがある場合は事前申請と書面承認が必要とされています。
書類が見当たらない場合や、記載が見つからない場合は、管理会社に問い合わせれば案内してもらえることが一般的です。
管理組合・管理会社に相談するときに伝えるとよいこと
「フィルムを貼りたい」とだけ伝えると、どんな工事なのか伝わらず、判断に時間がかかることがあります。次の内容を整理して伝えると、話が進みやすくなります。
- 施工する場所(住戸番号、どの部屋のどの窓か、バルコニー側か共用廊下側か)
- 施工する面(ガラスの室内側に貼るのか、屋外側に貼るのか)
- 目的(地震や台風による破片の飛散を抑えたい、日射熱を抑えたい、視線を遮りたい など)
- 使用する製品の種類と、外観が変わるかどうか(透明タイプか、色や反射のあるタイプか)
- 将来的に除去できるかどうか、原状回復の考え方
- 施工業者名と、施工予定日・作業時間
特に意見が分かれやすいのが、外観の変化です。色味や反射のあるフィルムは、外から見たときに他の住戸と見え方が変わることがあります。外観を変えたくない場合は、透明タイプを前提に相談する方が、話がまとまりやすい傾向があります。当店では、どのような製品を使うのか、外から見てどう変わる可能性があるのかを事前にご説明できます。
窓ガラスフィルムでできること・できないこと
できること
- 飛散防止タイプで、ガラスが割れた際に破片が室内へ飛び散るのを抑える
- 遮熱タイプで、窓から入る日射熱の影響を軽減する
- 紫外線カット性能のある製品で、家具や床の日焼けを軽減する
- 目隠しタイプで、昼間の外からの視線を軽減する
- ガラスを交換せず、今ある窓に施工できる(ガラスの種類と規約の条件によります)
- 気になる窓だけを選んで、段階的に対策できる
できないこと・注意点
- ガラスが割れること自体を防ぐものではありません
- すでにヒビや欠けのあるガラスを補修するものではありません
- 飛散防止フィルムと防犯フィルムは目的が異なる別の製品です
- 室温や電気代の変化を保証できるものではありません
- 管理規約や細則の内容によっては、施工できない場合があります
- ガラスの種類や設置環境によっては、施工をおすすめしない場合があります
内窓の増設・ガラス交換との違い
窓の性能を高める方法には、フィルム以外の選択肢もあります。それぞれ目的も手続きも異なるため、単純な優劣では比較できません。判断材料として整理します。
| 比較項目 |
窓ガラスフィルム |
内窓(二重窓)の増設 |
窓ガラスの交換 |
| 主な目的 |
製品により、破片飛散の抑制、日射熱の軽減、紫外線カット、視線の軽減など |
主に断熱・防音。既存窓の内側に新たな窓を設ける |
主に断熱・防音・防犯。ガラスそのものを別の性能のものに替える |
| 工事の対象 |
既存ガラスの表面に貼る |
室内側の壁・枠に新たな建具を取り付ける |
既存ガラスを撤去して入れ替える |
| 管理規約上の扱い |
マンションごとに異なるため確認が必要 |
マンションごとに異なるため確認が必要。標準管理規約では開口部の改良の具体例として内窓の増設が挙げられている |
マンションごとに異なるため確認が必要。標準管理規約では複層ガラスへの交換が具体例として挙げられている |
| 外観への影響 |
透明タイプなら変化は小さい。色や反射のあるタイプは外観が変わることがある |
室内側のため外観への影響は小さいことが多い |
ガラスの種類によっては見え方が変わることがある |
| 補助制度 |
2026年度の先進的窓リノベ2026事業では、補助対象工事に含まれていない |
要件を満たす場合に補助対象となる制度がある。詳細は事業公式サイトで確認が必要 |
要件を満たす場合に補助対象となる制度がある。詳細は事業公式サイトで確認が必要 |
| 向いている場面 |
割れたときの破片を抑えたい、日差しや視線を抑えたい、工事規模を抑えたい |
窓際の寒さや結露、音の悩みを重視したい |
ガラスそのものの性能を変えたい |
補助制度の内容と要件は年度や事業によって変わります。実際の可否や金額は、必ず事業の公式サイトおよび登録事業者にご確認ください。窓ガラスフィルムと補助金の関係は先進的窓リノベ2026で窓フィルムは補助金対象外でも整理しています。
表のとおり、フィルムが常に優れているわけではありません。窓際の寒さや結露、騒音を根本から改善したい場合は内窓が候補になりますし、ガラス自体を変えたい場合は交換が選択肢になります。一方、割れたときの破片を抑えたい、日差しや視線を抑えたいという目的であれば、フィルムが現実的な選択肢になります。
マンションならではの施工前確認
管理規約の確認と並行して、窓そのものの条件も確認が必要です。ここは、写真や現地で一つずつ見ていく部分になります。
ガラスの種類と熱割れリスク
網入りガラス、複層ガラス(ペアガラス)、Low-Eガラス、型板ガラス、強化ガラスなど、ガラスにはさまざまな種類があります。マンションでは、階数や方角、建てられた時期によって使われているガラスが違うこともあります。
ガラスの構成とフィルムの組み合わせ、方角、日当たり、ガラスに近い家具やカーテンの位置によっては、熱割れのリスクを確認したうえで判断する必要があります。網入りガラスについては、当店では原則としてお断りしています。熱割れの考え方は窓ガラスフィルムの熱割れ原因と対策|由布市・竹田市の施工前確認で詳しく解説しています。
窓の位置と作業環境
バルコニー側の掃き出し窓と、共用廊下側の小窓では、作業環境も外から見えるかどうかも変わります。共用廊下側の窓は、通行する方の目に触れるため、外観への配慮がより求められる場合があります。
また、フィルム施工には水を使います。窓の前に家具や荷物がある場合は、一時的な移動をお願いすることがあります。搬入経路やエレベーターの使用について、管理規約で時間帯のルールが決まっているマンションもあります。
すでにフィルムが貼られている窓
中古で購入された住戸では、以前の所有者がフィルムを貼っているケースがあります。年数が経ったフィルムは、紫外線や熱の影響で劣化していることがあり、端の浮き、変色、細かいひび割れが出ている場合は、貼り替えが前提になります。既存フィルムの除去が必要かどうかも、現地で確認します。
フィルム選びで迷いやすいポイント
目的が定まらないまま製品を選ぶと、仕上がりのイメージとずれることがあります。特に次の2点は、事前に整理しておくと判断しやすくなります。
ひとつは、飛散防止と防犯を混同しないことです。飛散防止フィルムは、割れたガラスの破片が飛び散るのを抑える目的の製品です。一方、防犯フィルムはガラスを破って侵入するまでに時間と手間をかけさせる対策であり、厚みも構成も異なります。目的が防犯であれば、最初にその点をお伝えください。3種類の違いは飛散防止・防災・防犯フィルムの違い|豊後高田市・宇佐市で整理しています。
もうひとつは、明るさとのバランスです。日差しのまぶしさを抑えることを優先して濃いフィルムを選ぶと、曇りの日や冬場に室内が暗く感じられることがあります。窓の向き、部屋の用途、過ごす時間帯を踏まえて、ちょうどよい濃さを探すことが大切です。
施工前に確認したいQ&A
管理組合に相談せずにフィルムを貼ってもよいですか
おすすめできません。標準管理規約では窓枠と窓ガラスは専有部分に含まれないものとされており、各マンションの規約や細則で手続きが定められている場合があります。あとからトラブルにならないよう、事前に管理規約を確認し、必要に応じて管理組合や管理会社へ相談してください。当店からも、どのような工事内容かを説明する資料をご用意できます。
透明なフィルムなら外観が変わらないので問題ありませんか
外観の変化が小さいことと、手続きが不要であることは別です。透明タイプは見た目の変化が少ない製品ですが、施工の可否や申請の要否は、お住まいのマンションの規約と細則によります。まずはご自身の規約をご確認ください。
飛散防止フィルムを貼れば、地震でガラスは割れなくなりますか
割れなくなるものではありません。飛散防止フィルムの目的は、ガラスが割れたときに破片が飛び散るのを抑えることです。揺れへの備えとしては、家具の固定、窓際に物を置かない、就寝場所の見直しといった対策とあわせて考えることをおすすめします。戸建てを含む地震後の確認点は地震で窓ガラスが不安に|飛散防止フィルムでできる備え【臼杵市・津久見市】でも解説しています。
全部の窓に貼らないと意味がありませんか
そうではありません。寝室やリビングの大きな窓、避難経路に面した窓など、優先度の高い場所から検討できます。すべての窓を一度に施工する必要はなく、段階的に進めることも可能です。
写真を送れば、施工できるかどうか分かりますか
写真で分かる範囲のご案内はできますが、それだけで確定はできません。ガラスの種類、既存フィルムの有無、ガラスの状態、設置環境によって判断が変わるため、正式な施工可否とお見積もりには現地確認が必要になる場合があります。窓全体が写った写真と、可能であればガラスの刻印やシールの写真があると、確認の精度が上がります。
まとめ
この記事のポイント
- 標準管理規約では、窓枠と窓ガラスは専有部分に含まれないものとされている
- 専用使用権があっても、外観の変更などは使用細則の範囲で考える必要がある
- 実際のルールはマンションごとに異なるため、規約・細則の確認と管理組合への相談が出発点
- 相談時は、施工場所、施工面、目的、製品の種類、外観への影響を整理して伝える
- 飛散防止フィルムは、割れたときの破片飛散を抑える対策であり、割れを防ぐものではない
- ガラスの種類、熱割れリスク、既存フィルムの状態は施工前の確認が必要
地震をきっかけに住まいの安全を見直すことは、とても自然なことです。マンションの場合は、手を加える前に確認するルールがあるというだけで、対策ができないわけではありません。順序を踏んで進めれば、無理のない形で備えを整えられます。
確認や相談だけでも大丈夫です。
「この窓に施工できるのか知りたい」「管理組合に説明するために、どんな工事なのかを知りたい」といった段階でのご相談も承っています。外観が変わりにくい製品のご提案や、施工内容のご説明もできます。条件によっては施工をおすすめしない場合もありますので、その理由もあわせてお伝えします。
窓全体が写った写真を1〜2枚LINEで送っていただければ、現地確認前の参考になります。
写真だけでは、ガラスの種類や正式な施工可否を確定できない場合があります。必要に応じて現地で確認します。なお、管理規約の解釈や申請の可否については、管理組合または管理会社へご確認ください。
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お電話でのご相談:050-3554-7122
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参考情報
管理規約に関する記載は、国土交通省が公表するマンション標準管理規約(単棟型)およびコメントの内容に基づいています。実際の管理規約・使用細則はマンションごとに異なります。地震に関する情報は、大分県災害対策連絡室の公表資料に基づく発表時点の内容です。窓ガラスフィルムは、ガラスを絶対に割れなくするものではありません。目的やガラスの種類により、適した製品や施工可否は変わります。