窓ガラスフィルムを調べていると、「まずガラスの種類を確認してください」という説明が出てきます。ところが多くの方にとって、自宅や店舗の窓が単板ガラスなのか、複層ガラス(ペアガラス)なのか、Low-E複層ガラスなのかは、すぐには分からないものです。
窓ガラスには、種類を確認する手がかりが残されている場合があります。ガラスの隅に入った小さな文字や記号、複層ガラスの中空層にあるスペーサーの表示、サッシまわりのラベル、ガラスの見た目などです。
この記事では、大分県速見郡日出町を拠点に窓ガラスフィルム施工を行うHARU工房いちまるが、お客様ご自身で確認できるガラスの種類の手がかりと、表示の読み方を整理します。あわせて、刻印や写真だけでは判断できない範囲についても解説します。
この記事でわかること
- 窓ガラスの種類を調べるとき、最初に見る場所
- 見た目から分かる可能性があること
- ガラスの端に入っている文字・マークの意味
- 「2LgG12」のようなガラス建築確認記号の読み方
- エコガラスマークとCPマークの違い
- 網入りガラスについて誤解されやすい点
- ガラスの種類が分かると何を確認しやすくなるのか
- 写真や刻印では分からず、現地確認が必要になる範囲
結論:種類の見当はつけられますが、施工可否までは確定できません
先に結論をお伝えします。
ガラスの端の文字やマーク、複層ガラス内部のスペーサー表示、見た目などを確認すれば、「複層ガラスの可能性がある」「Low-E複層ガラスの手がかりがある」と判断できる場合があります。
一方で、ガラスの正確な厚みや構成、強化・倍強度などの加工、Low-E膜の位置、フィルム施工の可否、熱割れリスクまでを、写真や表示だけで確定できるとは限りません。
ご自身で行う確認は、最終的な答えを出すためではなく、相談や現地確認を正確に進めるための手がかりを集める作業と考えてください。表示が見つからない場合や、文字が読めない場合でも相談できます。
最初に見るのは「ガラスの隅」と「サッシまわり」
ガラスの種類に関する表示は、窓の中央ではなく、ガラスの四隅や、ガラスとサッシが接している境目付近に入っている場合があります。
複層ガラスでは、2枚のガラスの間にあるスペーサー部分に、メーカー名、製品名、製造情報、ガラス構成に関する文字などが表示されている場合もあります。
確認するときは、次の順番で見ていくと整理しやすくなります。
- ガラスの四隅を室内側から順番に見る
- ガラスとサッシの境目付近を斜めから見る
- 複層ガラスの場合は、2枚のガラスの間にあるスペーサーを見る
- サッシの枠、クレセント錠の近く、障子の框にラベルやシールが残っていないか確認する
- 掃き出し窓など大きな窓は、下框の近くも確認する
ガラスに直接入っている表示は、小さく半透明で、正面から見ると分かりにくいことがあります。室内照明やスマートフォンのライトを使い、見る角度を少しずつ変えてみてください。
ただし、表示を探すためにカッターや金属製の道具でガラス表面をこすらないでください。既存フィルムが貼られている場合は、表面に傷が付くおそれがあります。
確認時の注意
表示を探すために、脚立を使って高所窓をのぞき込んだり、ベランダから身を乗り出したりしないでください。吹き抜け、階段上、高所の窓は、無理に確認せず「確認できていない窓」として扱っていただいて問題ありません。
表示が入っていないガラス、年数の経過で読み取りにくくなったガラス、交換時の資料が残っていないガラスもあります。マークや文字が見つからないからといって、単板ガラスや一般的なガラスだと断定することはできません。
見た目から分かる可能性があるサイン
表示を探す前に、見た目から分かる可能性があることもあります。ただし、いずれも最終的な判定ではなく、相談時の手がかりとして扱ってください。
ガラスの中に網や線が見える
ガラスの中に格子状やひし形の金網が見えるものは網入り板ガラス、平行な金属線が見えるものは線入り板ガラスの可能性があります。内部の金網や金属線が直接見えるため、比較的確認しやすいガラスです。
表面に凹凸や模様がある
片面に凹凸や模様があるものは、型板ガラスの可能性があります。浴室、洗面所、トイレ、玄関脇など、視線をやわらげたい場所で使用されることがあります。
凹凸面には一般的な粘着タイプのフィルムを施工できない場合があります。反対側が平滑面であれば施工を検討できることもありますが、ガラスの構成や施工面の確認が必要です。
反射像が複数に分かれて見える
小さな光を窓に映したとき、反射像が複数に分かれて見える場合は、複数枚のガラスやコーティング面がある可能性があります。
ただし、1枚のガラスでも表面と裏面から反射するため、反射像だけで単板ガラス・複層ガラス・Low-E複層ガラスを正確に判別することはできません。光源の種類、見る角度、ガラスの厚みなどによって見え方も変わります。
色味や金属的な反射がある
透明に見えるガラスでも、わずかな色味や金属的な反射がある場合は、Low-E膜、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、着色ガラス、既存の窓ガラスフィルムなどが関係している可能性があります。
ただし、Low-E膜の有無や位置、ガラス自体の色と既存フィルムの違いは、見た目だけでは判断しにくい場合があります。
見た目だけでは判断しきれないこと
- 複層ガラスでも、正面から見ると単板ガラスとほとんど変わらないことがあります
- Low-E膜の有無や位置は、色味だけでは確定できません
- 強化ガラスや倍強度ガラスは、外観だけでは区別しにくいことがあります
- フィルムが貼られているのか、ガラス自体に色や反射があるのか判断しにくいことがあります
- 防犯合わせガラスなど、複数の材料で構成されたガラスを見た目だけで特定できないことがあります
ガラスの端に入っている文字・マークの読み方
ここからは、見つけた表示から何を読み取れる可能性があるのかを整理します。
メーカー名・製品名
ガラスやスペーサーに、メーカー名、製品名、ブランド名などが表示されている場合があります。製品名が読み取れれば、メーカーの公式カタログや技術資料から仕様を確認できる可能性があります。
ただし、製品名の一部だけでは商品を特定できない場合があります。また、同じブランド名でも製造時期や仕様によって構成が異なる可能性があるため、読み取れた文字を省略せず、そのまま記録することが大切です。
「Low-E」「エコガラス」といった表示
複層ガラスの端やスペーサー付近に、製品名とあわせて「Low-E」に関係する表示が入っている場合があります。表示内容とメーカー資料を確認することで、Low-E複層ガラスであることを確認できる場合があります。
「エコガラス」は、一般社団法人板硝子協会の会員であるAGC株式会社、日本板硝子株式会社、セントラル硝子プロダクツ株式会社の3社が製造するLow-E複層ガラスの共通呼称です。エコガラスの基準を満たした商品には、業界共通のエコガラスマークが使用されます。
したがって、正規のエコガラスマークが確認できれば、Low-E複層ガラスであることを確認する有力な手がかりになります。ただし、マークだけでLow-E膜の位置やガラスの厚み、フィルム施工の可否まで判断できるわけではありません。
「2LgG12」のようなガラス建築確認記号
ラベルや資料などに、アルファベットと数字を組み合わせた「2LgG12」のような記号が記載されていることがあります。
これは、省エネ基準への適合確認などで使用されるガラス建築確認記号です。ガラス層数、Low-Eガラスの枚数と日射取得区分、中空層の気体、中空層の厚さを表します。
「2LgG12」の読み方
| 位置 |
表記 |
意味 |
| 1つ目 |
2 |
ガラス層数が2層 |
| 2つ目 |
Lg |
Low-Eガラス1枚を使用した日射取得型 |
| 3つ目 |
G |
中空層が断熱性ガス |
| 4つ目 |
12 |
中空層の厚さが12ミリ |
この記号は、ガラス層数2層、Low-Eガラス1枚を使用した日射取得型、中空層に断熱性ガスを使用し、中空層厚さが12ミリであることを表します。
主な記号の意味は次のとおりです。
| 記号 |
主な意味 |
| 3 |
ガラス層数が3層以上 |
| 2 |
ガラス層数が2層 |
| Wg |
Low-Eガラス2枚・日射取得型 |
| Ws |
Low-Eガラス2枚・日射遮蔽型 |
| Lg |
Low-Eガラス1枚・日射取得型 |
| Ls |
Low-Eガラス1枚・日射遮蔽型 |
| F |
Low-Eガラスなし・その他 |
| G |
中空層に断熱性ガスを使用 |
| A |
中空層が乾燥空気 |
| 06~16 |
中空層の厚さを2桁の整数で表示 |
| T |
単板ガラスを表す記号 |
セントラル硝子プロダクツ株式会社の資料では、単板ガラスは表示を行わなくてもよいとされ、記号としては「T」が使用されます。そのため、記号がないことだけを理由に単板ガラスと判断することはできません。
また、ガラス建築確認記号は省エネ基準におけるガラスの仕様と性能を表すための記号です。Low-E膜が複層ガラスのどちら側にあるか、各ガラスの正確な厚み、強化・倍強度加工の有無、フィルム施工の可否までを、この記号だけで確認できるわけではありません。
緑色のCPマーク
窓、サッシ、ガラス、錠などに、緑色の「CP」マークが表示されている場合があります。
CPは「Crime Prevention」の頭文字を取ったもので、官民合同会議が定める試験に合格し、「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載された建物部品に使用される共通標章です。
CPマークは、単板ガラス・複層ガラス・Low-Eガラスといったガラスの種類を示すマークではありません。また、窓にCPマークがあるからといって、窓を構成するすべての部品が同じ性能を持つと自己判断するのではなく、どの部品に対する表示なのかを確認する必要があります。
見つけた場合は、マークだけでなく、貼られている位置や周囲の表示も一緒に撮影してください。
網入りガラスについて誤解されやすい点
網が入っていても、防犯ガラスではありません
ガラスの中に金網が入っていると、「割れにくい」「台風や侵入に強い」と感じる方がいます。しかし、網入り板ガラスは主に、火災時にガラスが破損した際、金網が破片を支えることで延焼を防ぐ目的で使用されるガラスです。
一般社団法人板硝子協会も、網入りガラスについて、火災時に延焼を防ぐ機能がある一方、防災や防犯の機能はないと説明しています。
そのため、網入りガラスだから台風時の飛来物やガラス破りに十分対応できるとは考えないでください。ガラスの飛散、台風時の飛来物、防犯が気になる場合は、それぞれの目的に適した対策を検討する必要があります。
網入りガラスは、フィルム施工時の熱割れリスクについても慎重な確認が必要です。ガラスの種類、厚み、窓の大きさ、方角、日射、影のかかり方、サッシの状態、選ぶフィルムなどを確認したうえで施工可否を検討します。
ガラスの種類が分かると、何を確認しやすくなるのか
ガラスの種類を確認する目的は、お客様が専門的な判断を行うことではありません。その後の相談や製品選定に必要な情報を整理することが目的です。
手がかりがあると確認しやすくなること
- どのフィルムが候補になりうるかを整理しやすくなる
- 熱割れリスクについて重点的に確認する項目が分かりやすくなる
- 室内用・屋外用のどちらを検討するか判断しやすくなる
- メーカー資料で適合条件を確認しやすくなる
- 現地確認の前に必要な情報を共有しやすくなる
- 既存フィルムがある場合、剥離作業が必要か検討しやすくなる
特に、網入りガラス、複層ガラス、Low-E複層ガラス、型板ガラス、強化ガラス、傷・ひび・欠けのあるガラスは、フィルムとの組み合わせを個別に確認する必要があります。
熱割れリスクは、ガラスの種類だけで決まるものではありません。方角、日射の当たり方、部分的な影、窓の大きさ、サッシの条件、カーテンや家具との距離、空調、選ぶフィルムなど、複数の条件が関係します。
熱割れ判定を行っても、将来の熱割れの可能性を完全にゼロにできると保証するものではありません。施工後にカーテンや家具の位置が変わるなど、窓まわりの条件が変化することもあります。
写真や表示だけでは確認できないこと
現地確認が必要になる主な項目
- ガラスの正確な厚み
- 強化ガラス、倍強度ガラスなどの加工の有無
- 複層ガラスを構成する各ガラスの正確な厚み
- Low-E膜の位置
- 既存フィルムの種類、性能、劣化状態
- サッシの納まりや、ガラスを押さえている部材の状態
- シーリング材やガスケットの劣化状態
- 傷、欠け、ひびの程度
- 窓全体の日射条件や部分的な影のかかり方
- 熱割れリスクの判定
- 正式な施工可否と見積り金額
ガラス厚計などの測定器、メーカー資料、建築時の仕様書、現地での確認などを組み合わせて判断します。写真だけで施工できると断定できない場合があります。
表示を撮影するときのコツ
見つけた表示をLINEなどで送る場合は、次の写真があると確認しやすくなります。
- 窓全体の写真:窓の形、大きさ、枚数、周囲の状況が分かるように少し離れて撮影します
- 表示の接写:文字が読める距離まで近づき、ピントを合わせます
- 表示の位置が分かる写真:接写だけでなく、ガラスのどの部分に表示があるのか分かる写真も撮ります
- 角度を変えた写真:反射で文字が見えない場合は、少し斜めから数枚撮影します
- スペーサーの写真:複層ガラスの場合は、2枚のガラスの間にあるスペーサーの文字も確認します
文字が読み取れない場合は、無理に解読せず、「表示はあるが読めなかった」とお伝えいただければ問題ありません。
よくある質問
刻印やマークが見つかりません。相談できますか?
相談できます。表示がないガラスや、年数の経過で読みにくくなっているガラスもあります。ガラスの種類が分からない状態からでも、必要に応じて現地で確認します。
「エコガラス」と書いてあれば、フィルムは貼れないのでしょうか?
エコガラスはLow-E複層ガラスの共通呼称ですが、一律に「貼れる」「貼れない」とは判断できません。ガラス構成、窓の方角、日射条件、選ぶフィルムなどを確認し、必要に応じてメーカー資料や熱割れ判定をもとに検討します。
「2LgG12」と読めれば、自分でフィルムを選べますか?
記号からガラスの基本的な仕様を読み取れますが、それだけでフィルムを決めることはおすすめしません。各ガラスの正確な厚み、Low-E膜の位置、サッシや日射条件など、記号では分からない項目があるためです。
CPマークが付いていれば、防犯フィルムは必要ありませんか?
CPマークがどの部品に対する表示なのかを確認する必要があります。また、CPマークは防犯性能に関する表示であり、暑さ、西日、紫外線、飛散防止、目隠しなどの目的を示すものではありません。何を対策したいのかによって検討内容が変わります。
網入りガラスなので、台風や防犯は心配しなくてよいですか?
いいえ。網入りガラスは主に火災時の延焼防止を目的としたガラスで、台風時の飛来物対策や防犯ガラスとして使用されるものではありません。飛散、飛来物、防犯が気になる場合は、目的に合った別の対策を検討する必要があります。
賃貸住宅や分譲マンションでも確認できますか?
表示を見るだけであれば問題ありませんが、フィルム施工の可否は賃貸借契約や管理規約によって異なります。管理会社、所有者、管理組合などへの確認が必要になる場合があります。当店は契約や規約について法的な判断を行う立場ではありませんので、契約内容にもとづいてご確認ください。
まとめ
窓ガラスの種類は、ガラスの隅の文字、複層ガラスのスペーサー表示、エコガラスマーク、ガラス建築確認記号、網や表面の凹凸などから、手がかりを得られる場合があります。
「2LgG12」のようなガラス建築確認記号が分かれば、ガラス層数、Low-Eガラスの枚数と日射取得区分、中空層の気体、中空層厚さを読み取ることができます。
ただし、表示や写真から分かる情報は、施工判断に必要な情報の一部です。ガラスの正確な厚み、Low-E膜の位置、加工の有無、サッシの状態、日射条件、熱割れリスク、正式な施工可否は、現地確認やメーカー資料などをもとに判断します。
表示が見つからない場合や、ガラスの種類が分からない場合でも、そこから相談を始めて問題ありません。
窓ガラスの種類が分からなくてもご相談いただけます
HARU工房いちまるは、大分県速見郡日出町を拠点に、住宅・店舗・事務所・施設・工場などの窓ガラスフィルム施工を行っています。窓1枚からのご相談にも対応しています。
- 窓全体の写真があると、窓の形や施工環境を確認しやすくなります
- 刻印、マーク、ラベル、スペーサーの文字が読める写真は、事前確認の手がかりになります
- 窓の横幅と高さが分かると、概算確認に役立つ場合があります
- 写真だけではガラスの種類や施工可否を確定できない場合があります
- 正式な商品選定、熱割れリスクの確認、施工可否、お見積りには現地確認が必要な場合があります
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